その創造物を見上げ、科学者は浮遊諸島の人々がそれを恐れることを確信した。一般人であれば、鋭いクチバシと濃縮されたオスティア鋼でできた翼を目にするや否や逃げ出すことだろう。
しかしオスティア人は一般人以上の者である必要がある。その科学者にとっては、この化け物は美しい存在なのである。
三摂政に使える科学者は歪んだ笑みを浮かべ、眼鏡をクイッと上げる。そのレンズがキラリと光を放つ。とうとう成し遂げたのだ、そうだろう?これまで禁忌とされてきたことをすべて否定し、自然の摂理から外れたものを創り出したのだ。
それはフィーランクスと名付けられた。実に優美な名前だ。
オスティアの兵器筆頭研究者の開発記録よりの抜粋
オスティアに最新の兵器をもたらせられたことを嬉しく思う。ブレイズワークスの中心で創り出されたフィーランクスは、浮遊諸島に蔓延る他のベヒモスどもとは一線を画するものだ。常識外れな技術とオスティアの叡智の顕現とも言えるこのベヒモスは、三摂政による支配をオスティアの境界から世界全体にも拡大させることを可能とするだろう。
この革新的な道のりの筆頭研究者として、上層部も確実に納得させることのできるメモを以下に記載してある。
搭載兵器と改造性
圧縮オスティア鋼の皮膚
鍛造のプロセスにおいて、技術者が何度鋼を重ねることになったかの回数は最早不明になってしまったが、私は繰り返しもう一度だと要求し続けた。その皮膚に対してあらゆる手段で負荷を与えたが、その防御が崩れることはなかった。鈍器、刃物、エーテル…あらゆるものに耐えて見せたのだ。
鋭利な翼の先端
一般的な生物のように、フィーランクスの翼は飛行するためのものではない。リーチが突出して長い兵器なのだ。鋭利な羽根は、翼を広げた範囲にあるものすべてを容易に切り刻む。その精度も抜群だ。不幸なことに何名かの研究員がリーチを見誤ってしまった。しかし心配は不要だ。より才能のある人員を素早く補充しておいた。
エーテルブースター
無念ではあるが、オスティア鋼を繰り返し重ねたことによりフィーランクスの重量が増してしまうという欠点が出てしまった。以前の試験では空を飛ぶことおろか、歩くことすらできないこともあった。それらの失敗が後方のエーテルブースターの開発の原動力となった。この進化のおかげで、その質量に関わらずフィーランクスは素早く、そして効率的に移動することが可能となった。その進路を阻む者は命を落とすことになるだろう。
エーテルロケット
ロケット。ロケットの搭載は避けられないものだった。
サーマルビジョン
目は不要であり、開発費の無駄だと言われたものだ。大胆不敵にも私のことを狂っているとまで非難してきた。フィーランクスの視線で3枚重ねたオスティア鋼を溶かすのを見せてやったら、奴らは口答えできなくなったがな。慎重派の奴らはベヒモスが自身の攻撃のあまりの強さにたじろぐのを見て完全には安心できなかったようだが、科学の進歩には思い切った判断も必要なのだ。
9月9日のパッチ1.7.4にてフィーランクスが登場します。狩猟場のブレイズワークスで立ち向いましょう。